目次
- 1 ワインの国・イタリアを旅する前に
- 2 トスカーナ州ってどんなところ?
- 3 ぶどうとともに生きたトスカーナの歴史
- 4 ワイナリー巡りの楽しみ方〜大手と小さな造り手の違い〜
- 5 トスカーナの有名ワイン産地とその特徴
- 6 トスカーナのぶどうの品種
- 7 最も有名なトスカーナワイン7種とその特徴と味わい
- 8 トスカーナの気候と地理、季節ごとのワイナリーの見どころ
- 9 トスカーナと食べ物の究極の組み合わせ(ペアリング)
- 10 トスカーナワインツーリズムについて
- 11 産地ごとに有名な宿泊できる人気ワイナリー3選
- 12 トスカーナのワイナリーを巡る6泊7日のおすすめモデルコース(レンタカー利用)
- 13 レンタカー利用のメリット&デメリット
- 14 ご予約・お問い合わせ
ワインの国・イタリアを旅する前に
イタリアの基本情報についてご案内します。
イタリアは「ワインの大地」と呼ばれるほど、国中どこへ行ってもブドウ畑が広がるワイン王国。北のアルプスから南の地中海の島々まで、それぞれの土地で個性豊かなワインが生まれています。
初めてイタリアワインを楽しむ方には、4段階の格付けを知っておくと便利です。上から順に「D.O.C.G.」「D.O.C.」「I.G.T.」「Vino(テーブルワイン)」となっていて、D.O.C.G.は厳しいルールで管理された高品質なワインの証。でも、イタリアの魅力は「格付け=美味しさ」とは限らないところ!
たとえばトスカーナで生まれた「スーパータスカン」というワインは、自由な発想で造られたにもかかわらず、世界のワイン愛好家たちを虜にしています。伝統と革新が共存する、それがイタリアワインの魅力です。
トスカーナ州ってどんなところ?
イタリア中部に位置するトスカーナは、芸術と自然が調和した美しい州。ルネサンス文化の都フィレンツェや、ピサの斜塔、丘の上の町シエナなど、有名観光地も目白押しです。
でも、ワインを目当てにこの地を訪れる人も少なくありません。トスカーナはなだらかな丘陵地にインスタ映えする糸杉の並木、オリーブやブドウ畑が広がり、まさに絵画のような風景が広がる“ワインの楽園”です。昼夜の寒暖差が激しい内陸部では香り高く酸味のあるブドウが育ち、温暖な海岸沿いでは国際品種も栽培されます。
また、キャンティ・クラシコ(ガレストロ:泥灰土と石灰岩の混合土壌)やモンタルチーノ(石灰質土壌)、ボルゲリ(砂礫や粘土質土壌)など、土壌の違いも味わいに個性を与えていて、地域ごとに“テロワール(風土の個性)”を楽しめます。観光とグルメがセットになった、夢のようなひとときを過ごせる場所です。
ぶどうとともに生きたトスカーナの歴史
トスカーナのワイン造りの歴史は、今から約2700年前のエトルリア時代にまでさかのぼります。古代ローマ時代にはすでに広くワインが飲まれ、中世には修道士たちがその技術を引き継ぎました。
その後のルネサンス時代、トスカーナを治めたメディチ家は、ワインを外交や経済の要と考え、その品質向上に尽力。1716年には、ワイン産地を守る世界初の保護制度を打ち出し、今の格付け制度の原型となりました。
そして現代。1970年代には型にはまらない新しいワイン「スーパータスカン」が登場。サンジョヴェーゼにカベルネ・ソーヴィニヨンなどを加えた独自のブレンドが、世界の注目を集めました。伝統を守りつつ、新しい挑戦を続ける——そんなトスカーナの姿勢が、多くのファンを惹きつけてやまないのです。
ワイナリー巡りの楽しみ方〜大手と小さな造り手の違い〜
トスカーナには、世界的に有名な大手ワイナリーから、家族経営のこぢんまりしたワイナリーまで、さまざまなスタイルの造り手が点在しています。
たとえば、大手ワイナリー「アンティノリ」は600年以上の歴史を持ち、キャンティ・クラシコなどの伝統的ワインから、「ティニャネロ」などのスーパータスカンまで幅広く手がけています。最新技術と美しい施設を備え、洗練されたツアーやワインテイスティングが楽しめるのが魅力です。
一方、小さなワイナリーは少量生産ながら、作り手のこだわりや情熱がそのまま味に表れます。「テヌータ・ディ・トリノーロ」や「バッカナリ」などはその代表格で、訪れることでしか味わえない特別な体験が待っています。作り手と直接話し、畑を歩き、セラーで樽からワインを試飲する….そんな出会いは、忘れられない旅の思い出になるはず。
観光客にとってのベストは、両方を訪れてみること。きっと、トスカーナワインの奥深さと多様性に魅了されるはずです。
トスカーナの有名ワイン産地とその特徴
トスカーナには数多くのD.O.C.G.やD.O.C.が存在しますが、特に押さえておくべき3つの偉大な産地があります。
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キャンティ・クラシコ (Chianti Classico):
フィレンツェとシエナの間に広がる、トスカーナで最も古く、そして有名な産地です。「黒い雄鶏(ガッロ・ネーロ)」のマークが目印。サンジョヴェーゼを80%以上使用することが義務付けられており、スミレやチェリーのような華やかなアロマ、活き活きとした酸、そしてしなやかなタンニンが特徴です。比較的若いうちから楽しめますが、リゼルヴァやグラン・セレツィオーネといった上級クラスは長期熟成のポテンシャルも秘めています。パスタやピザはもちろん、肉料理まで幅広く合わせられるフードフレンドリーなワインです。 -
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ (Brunello di Montalcino):
シエナの南に位置するモンタルチーノ村で、サンジョヴェーゼの優良クローンである「ブルネッロ」を100%使用して造られる、イタリア最高峰の赤ワインの一つです。「イタリアワインの王様」とも称され、最低でも収穫年から5年(リゼルヴァは6年)という長い熟成期間が義務付けられています。非常にパワフルで凝縮感があり、ドライフルーツやスパイス、なめし革のような複雑で荘厳な香りを持ちます。長期熟成によってタンニンは滑らかになり、奥深い味わいが現れます。特別な日のディナーや、じっくりとワインと向き合いたい時に最適な一本です。 -
ボルゲリ (Bolgheri):
ティレニア海沿岸に位置する、比較的新しいながらも世界的な名声を獲得した産地です。ここは伝統的なサンジョヴェーゼ主体ではなく、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、カベルネ・フランといったフランス・ボルドー由来の国際品種で偉大なワインが造られているのが最大の特徴。伝説のワイン「サッシカイア」がこの地から生まれたことで一躍有名になりました。温暖な気候と水はけの良い土壌が生み出すワインは、熟した黒系果実の豊かな果実味と、滑らかで力強いタンニン、そして堂々とした骨格を持ちます。いわゆる「スーパータスカン」の聖地であり、世界中のワインコレクターが追い求めるワインが数多く存在します。
トスカーナのぶどうの品種
トスカーナワインの個性を語る上で、ブドウ品種は欠かせません。数多くの土着品種と国際品種が栽培されていますが、ここでは特に重要な3品種をご紹介します。
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サンジョヴェーゼ (Sangiovese):
まさにトスカーナの魂とも言える、最も重要な黒ブドウ品種です。ラテン語の「Sanguis Jovis(ジュピターの血)」が語源とされるこのブドウは、栽培される土地の気候や土壌によって驚くほど多様な表情を見せます。キャンティ・クラシコではスミレや赤い果実のチャーミングなアロマと溌剌とした酸が特徴ですが、モンタルチーノ(ブルネッロ)では力強く荘厳な、長期熟成型のワインとなります。高い酸としっかりとしたタンニンが骨格を成し、熟成と共に複雑な風味を増していくのが魅力。トスカーナの赤ワインの多くは、このサンジョヴェーゼが主体となっています。 -
カナイオーロ・ネロ (Canaiolo Nero):
かつてはキャンティのブレンドに欠かせない品種でした。サンジョヴェーゼが持つ鋭い酸味や力強いタンニンを和らげ、ワインに柔らかさと丸みを与える役割を担います。色合いを安定させる効果もあり、サンジョヴェーゼの理想的なパートナーとされています。近年はサンジョヴェーゼ100%のワインが増えましたが、今でも伝統的な生産者はこの品種を大切にしており、ワインに奥深さを与えています。 -
ヴェルナッチャ (Vernaccia):
トスカーナを代表する白ブドウ品種です。「天空の塔の街」として知られるサン・ジミニャーノで造られる「ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ」は、トスカーナで最初にD.O.C.に、そして白ワインとして初めてD.O.C.G.に認定された輝かしい歴史を持ちます。緑がかった麦わら色で、柑橘類や青リンゴのフレッシュなアロマに、火打石のようなミネラルのニュアンスと、後味に心地よい苦味を感じるのが特徴。キリっとした酸が魚介類との相性抜群で、爽やかな辛口ワインとして愛されています。
最も有名なトスカーナワイン7種とその特徴と味わい
数あるトスカーナワインの中から、これだけは知っておきたい珠玉の7本を厳選しました。
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サッシカイア (Sassicaia):
まさに「スーパータスカンの王」。ボルゲリ地区でカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランから造られます。当初は格付けのないテーブルワインでしたが、1978年のデキャンタ誌のブラインドテイスティングでボルドーの一級シャトーを抑えて優勝し、世界を驚かせました。現在はボルゲリ・サッシカイアとして唯一の単独D.O.C.を認められています。エレガントさと力強さを兼ね備え、熟したカシスや杉、ハーブの複雑なアロマが幾重にも重なります。長期熟成を経て真価を発揮する、伝説的なワインです。 -
オルネッライア (Ornellaia):
サッシカイアと並び称されるボルゲリの至宝。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドをブレンドして造られます。サッシカイアがエレガンスを追求するのに対し、オルネッライアはより豊満でパワフルなスタイル。ダークチョコレートや熟したブラックベリー、スパイスの官能的なアロマが広がり、緻密でベルベットのようなタンニンが口中を満たします。 -
ティニャネロ (Tignanello):
名門アンティノリが造る、元祖スーパータスカンの一つ。伝統的なキャンティ・クラシコのエリアで、サンジョヴェーゼにカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランをブレンドするという革新的な手法で生まれました。サンジョヴェーゼのエレガントな酸味と果実味に、カベルネの骨格と複雑さが融合した、絶妙なバランスを誇ります。 -
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ (Brunello di Montalcino):
「イタリアワインの王様」。サンジョヴェーゼ・グロッソ(ブルネッロ)100%で造られる、力強く荘厳な赤ワイン。最低5年の熟成がもたらす、ドライフルーツや紅茶、なめし革のような複雑で奥深い香りが特徴。タンニンは豊富ですが、長い熟成により滑らかになり、壮大な余韻が楽しめます。ジビエや熟成チーズと共に、じっくりと味わいたい逸品です。 -
キャンティ・クラシコ・リゼルヴァ (Chianti Classico Riserva):
「黒い雄鶏」が目印のキャンティ・クラシコの中でも、法定熟成期間(24ヶ月以上、内3ヶ月は瓶熟)を満たした上級品。通常のキャンティ・クラシコよりも凝縮感と複雑味が増し、より滑らかな口当たりになります。チェリーやスミレの香りに、スパイスや樽由来のニュアンスが加わり、飲みごたえのある味わいです。 -
ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ (Vernaccia di San Gimignano):
トスカーナを代表する由緒ある辛口白ワイン。フレッシュな柑橘類のアロマと、キリっとした酸、そしてアーモンドのようなほろ苦い後味が魅力。シーフードのフリットやアクアパッツァなど、魚介料理との相性は抜群です。 -
ヴィン・サント (Vin Santo):
「聖なるワイン」と呼ばれる、トスカーナの伝統的な甘口デザートワイン。収穫したブドウ(主にトレッビアーノやマルヴァジア)を陰干しして糖度を高め、小さな木樽(カラテッリ)で長期間熟成させます。琥珀色に輝き、ドライアプリコットやナッツ、ハチミツの凝縮された甘美な香りが特徴。食後に、カントゥッチ(アーモンドビスケット)を浸していただくのが伝統的な楽しみ方です。
実践的にトスカーナのワイナリーを巡るための具体的な情報をお届けします。季節ごとの魅力から、最高のフードペアリング、さらには夢のようなワイナリーでの宿泊体験、そして私が考えた完璧なモデルコースまで。このガイドを手にすれば、あなたのトスカーナ旅行は、単なる観光ではなく、一生忘れられない「ワインの旅」になるはずです。さあ、グラスを片手に、次の冒険の計画を始めましょう!
トスカーナの気候と地理、季節ごとのワイナリーの見どころ
トスカーナのワインがなぜこれほどまでに多様で魅力的か。その答えは、複雑な地理と気候に隠されています。西はティレニア海に面した温暖な地中海性気候から、内陸部に入るにつれて寒暖差の激しい大陸性気候へと移り変わります。この多様な気候と、丘陵地帯が織りなす無数のミクロクリマ(微気候)が、サンジョヴェーゼという同じブドウから、キャンティ・クラシコやブルネッロ・ディ・モンタルチーノといった全く異なる個性を持つワインを生み出すのです。
季節ごとにその表情をがらりと変えるトスカーナは、いつ訪れても新しい発見があります。
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春(4月~5月):
新緑が丘陵を覆い、野生の花々が咲き乱れる、最も美しい季節。気候も穏やかで、ワイナリー巡りには最適です。ブドウ畑では新しい芽吹きが始まり、生命の息吹を感じられます。この時期は、前年のフレッシュな白ワインやロゼワインを味わうのにぴったり。観光客も夏ほど多くなく、ゆったりとワイナリーを訪問できます。 -
夏(6月~8月):
太陽が燦々と輝き、ブドウの実はぐんぐんと成長します。日中は暑くなりますが、夕暮れ時にワイナリーのテラスで冷えた白ワインを片手にアペリティーヴォを楽しむのは格別です。多くのワイナリーで野外イベントやコンサートが開催され、活気に満ち溢れています。 -
秋(9月~10月):
ワイン好きにとって最もエキサイティングな季節、**収穫(ヴェンデミア)**の時期です。ワイナリーは一年で最も忙しくなりますが、ブドウの収穫や選果作業を間近で見学できるチャンスも。空気中には発酵が始まったブドウの甘い香りが漂い、州全体がお祭りのような雰囲気に包まれます。レストランではポルチーニ茸やトリュフといった秋の味覚も楽しめます。 -
冬(11月~2月):
観光客が少なくなり、トスカーナの静かで落ち着いた素顔に触れることができます。落葉したブドウ畑は少し寂しげですが、その分、ワイナリーではゆっくりと時間をかけて生産者と話をし、樽熟成中のワインをテイスティングさせてもらえることも。オリーブオイルの収穫・搾油シーズンでもあり、搾りたての「オーリオ・ヌオーヴォ」を味わえるのもこの時期ならではの特権です。
トスカーナと食べ物の究極の組み合わせ(ペアリング)
「シンプルでありながら、素材の味を最大限に引き出す」というのがトスカーナ料理の真髄。そして、その傍らには常に地元のワインがあります。これぞという王道の組み合わせをいくつかご紹介しましょう。
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ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ × ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ / キャンティ・クラシコ・リゼルヴァ: トスカーナ名物のTボーンステーキ。厚さ5cmはあろうかというキアニーナ牛の塊を炭火で豪快に焼き上げ、味付けは塩・胡椒のみ。この力強い肉の旨味を受け止め、さらに高みへと引き上げるのは、やはり骨格のしっかりとした赤ワインです。荘厳で複雑なブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、まさに王者の風格。また、熟成によってタンニンがこなれ、凝縮感を増したキャンティ・クラシコ・リゼルヴァも、肉の鉄分とワインの酸味が見事に調和します。
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パッパ・アル・ポモドーロ / リボリータ × 若めのキャンティ・クラシコ: 固くなったトスカーナパンをトマトや野菜と煮込んだ、素朴で優しい味わいの郷土料理。このような家庭料理には、気取らない若めのキャンティ・クラシコが最適です。そのフレッシュな果実味と心地よい酸味が、トマトの風味と絶妙にマッチします。
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ペコリーノ・トスカーノ(チーズ) × 様々なトスカーナワイン: 羊の乳から作られるペコリーノチーズは、熟成度合いによって味わいが変わります。フレッシュな「フレスコ」には、ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノのような爽やかな白ワインを。一方、長期熟成された「スタジオナート」の凝縮した旨味と塩気には、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノや、甘口のヴィン・サントを合わせるのが乙な楽しみ方です。
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魚介のフリット(揚げ物) × ヴェルメンティーノ / ヴェルナッチャ: 海に近いボルゲリ周辺では、新鮮な魚介類も名物。カラッと揚げた魚介のフリットには、沿岸部で造られるヴェルメンティーノのミネラル感と爽やかなハーブの香りがよく合います。もちろん、ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノのキリっとした酸味とほろ苦さも、揚げ物の油分をすっきりと流してくれます。
トスカーナワインツーリズムについて
トスカーナのワインツーリズムは、単にワインを試飲して回るだけではありません。それは、その土地の歴史、文化、そして人々の生活に深く触れる体験そのものです。多くのワイナリーは、単なる醸造施設ではなく、何世紀もの歴史を持つ城(カステッロ)や貴族の館、あるいは美しい農園(アグリツーリズモ)の中にあります。
典型的なワイナリー訪問では、まずブドウ畑を散策し、その土地のテロワールやブドウの栽培方法について説明を受けます。次に、醸造設備や歴史あるワインセラー(カンティーナ)を見学。そしてお待ちかねのテイスティングです。生産者本人や専門のスタッフから、それぞれのワインに込められた哲学やストーリーを聞きながら味わう一杯は、レストランで飲むのとは全く違う感動を与えてくれます。
近年は、テイスティングだけでなく、ランチやディナー、料理教室、さらには宿泊施設を提供するワイナリーが増えています。ブドウ畑を見下ろすレストランで郷土料理とのペアリングを堪能したり、自らパスタを打ってワインと共に味わったり。こうした体験を通じて、ワインは単なる飲み物から、その土地の文化を映し出す鏡へと変わるのです。多くのワイナリーは予約必須なので、訪問前には必ずメールや電話でアポイントを取るようにしましょう。
産地ごとに有名な宿泊できる人気ワイナリー3選
ブドウ畑に抱かれて眠り、鳥の声で目覚める。そんな夢のような体験ができるのが、ワイナリーでの宿泊(アグリツーリズモ)です。産地ごとにおすすめのワイナリーを厳選しました。
【キャンティ・クラシコ地区】
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カステッロ・ディ・アマ (Castello di Ama)
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理由と特徴: キャンティ・クラシコの頂点に君臨するワイナリーの一つ。18世紀の貴族の館を利用した客室は、クラシックな魅力とモダンなセンスが融合した極上の空間。敷地内にはミシュランの星付きレストランもあり、最高のワインと美食を心ゆくまで堪能できます。現代アートのコレクションも点在し、ワイナリー全体が美術館のようです。
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バディア・ア・コルティブオーノ (Badia a Coltibuono)
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理由と特徴: 1000年以上の歴史を持つ元修道院という、荘厳な雰囲気が魅力。歴史の重みを感じる客室に滞在し、併設の料理教室でトスカーナ料理を学ぶこともできます。オーガニック農法を実践しており、ワインだけでなく、オリーブオイルやハチミツも絶品です。
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カステッロ・デル・トレッビオ (Castello del Trebbio)
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理由と特徴: まるで中世にタイムスリップしたかのような、本物の古城に宿泊できるワイナリー。城壁に囲まれた敷地内には、アパートメントタイプの客室が用意されています。ワインセラーツアーはもちろん、トリュフ狩りやオリーブオイルテイスティングなど、ユニークな体験が豊富です。
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【モンタルチーノ地区】
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カステッロ・バンフィ – イル・ボルゴ (Castello Banfi – Il Borgo)
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理由と特徴: ブルネッロの最大手の一つ、バンフィ社が運営する最高級リゾート。中世の城塞と村を美しく改装した客室は、豪華絢爛。ミシュラン星付きレストラン、プール、ガラス博物館などを併設し、まさに至れり尽くせりの滞在が叶います。広大な敷地で、一日中優雅に過ごせます。
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カパルツァ (Caparzo)
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理由と特徴: ブルネッロの伝統的な造り手として名高いワイナリーが提供する、アットホームなアグリツーリズモ。客室は素朴ながらも清潔で快適。モンタルチーノの美しい丘陵地帯に囲まれ、静かで落ち着いた時間を過ごしたい方におすすめです。コストパフォーマンスの高さも魅力。
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ローズウッド・カスティリオン・デル・ボスコ (Rosewood Castiglion del Bosco)
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理由と特徴: ブルネッロの創始者フェルッチオ・ビオンディ・サンティの孫が設立したワイナリーを、最高級ホテルブランド「ローズウッド」が運営。800年の歴史を持つ村が丸ごとリゾートになっており、プライベートゴルフコースも完備。究極のラグジュアリーと、最高のブルネッロ体験を求めるならここしかありません。
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【ボルゲリ地区】
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オルネッライア (Ornellaia)
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理由と特徴: スーパータスカンの至宝、オルネッライアが所有するゲストハウス。宿泊できるのはごく限られたゲストのみで、非常にエクスクルーシブな体験ができます。洗練されたデザインの客室と、ボルゲリの美しい風景を独り占めできる贅沢。ワイナリーへのプライベートアクセスはもちろん、最高のホスピタリティが提供されます。(※一般予約が難しい場合があるため、要問い合わせ)
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ドonna Olimpia 1898
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理由と特徴: ボルゲリのD.O.C.エリアに位置する、モダンでスタイリッシュなワイナリーリゾート。客室は広々としており、デザイン性も高い。プールサイドでワインを楽しんだり、美しいティレニア海の海岸まで足を延ばしたりと、リゾート気分を満喫できます。
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テヌータ・ディ・ビセルノ (Tenuta di Biserno)
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理由と特徴: オルネッライアとマッセートの生みの親、ロドヴィコ・アンティノリ侯爵が手がけるワイナリー。ボルゲリに隣接するアルタ・マレンマ地区にあり、その美しいエステート内にゲストハウスがあります。最高品質のワイン造りの現場に滞在し、ボルゲリの新たな可能性を感じることができるでしょう。
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【ヴァルダルノ・ディ・ソープラ地区】
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イル・ボッロ (Il Borro)
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理由と特徴: ファッションブランド「サルヴァトーレ・フェラガモ」一族が所有する、壮大なスケールのワイナリーリゾート。中世の村を丸ごと復元した「ボルゴ」には、スイートやヴィラが点在し、まるで村の住人になったかのような滞在が楽しめます。オーガニック農法で造られるワインはもちろん、スパ、乗馬、料理教室などアクティビティも充実。サステナビリティ(持続可能性)を重視した哲学がリゾート全体に息づいており、ラグジュアリーでありながら自然と調和した時間を過ごせます。ヴァルダルノ・ディ・ソープラDOCのポテンシャルを世界に知らしめた、唯一無二の存在です。
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トスカーナのワイナリーを巡る6泊7日のおすすめモデルコース(レンタカー利用)
フィレンツェを起点に、トスカーナの三大銘醸地を効率よく、そして深く味わうための完璧なドライブコースを考案しました。
Day1
スケジュール
午前:フィレンツェ空港又は市内でレンタカーをピックアップ。
市内中心部のホテルにチェックイン。
午後はウフィツィ美術館やドゥオモを散策。
夜は市内のトラットリアで、旅の始まりを祝してキャンティ・クラシコで乾杯。
食事:宿泊
・朝:X 昼:X 夕:X
・宿泊:フィレンツェ泊
Day2
スケジュール
☞ キャンティ・クラシコ街道を南下
午前:フィレンツェを出発し、風光明媚な「キャンティジャーナ街道(SR222)」をドライブ。
途中、グレーヴェ・イン・キャンティの広場で休憩。
午後:予約しておいたワイナリー(例:カステッロ・ディ・アマ)を訪問。見学とテイスティング。
食事:宿泊
・朝:X 昼:X 夕:X
・宿泊:キャンティ・クラシコ地区のアグリツーリズモ。
Day3
スケジュール
☞ 天空の塔と白ワインの故郷へ
・午前:キャンティ地区の別のワイナリー(例:バディア・ア・コルティブオーノ)を訪問。
・午後:「天空の塔の街」サン・ジミニャーノへ。美しい塔が立ち並ぶ世界遺産の街を散策。
・地元のワイナリーで、爽やかな白ワイン「ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ」をテイスティング。
食事:宿泊
・朝:X 昼:〇 夕:〇
・宿泊:サン・ジミニャーノ近郊
Day4
スケジュール
☞ 中世の都市シエナとブルネッロの聖地へ
・午前:世界で最も美しい広場と称されるカンポ広場があるシエナへ。中世の雰囲気が色濃く残る街を散策。
・午後:ワインの王様、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの産地モンタルチーノへ移動。
・予約しておいたワイナリー(例:カパルツァ)を訪問し、荘厳なブルネッロを味わう。
食事:宿泊
・朝:〇 昼:〇 夕:〇
・宿泊:モンタルチーノのアグリツーリズモ
Day5
スケジュール
☞ 世界遺産オルチャ渓谷と高貴なるワイン
・午前:糸杉の丘が続く、世界遺産オルチャ渓谷をドライブ。ピエンツァやサン・クイリコ・ドルチャといった絵のように美しい村に立ち寄る。
・午後:「高貴なワイン」で知られるモンテプルチアーノへ。歴史的な地下セラーを持つワイナリーを見学。
・夜はモンテプルチアーノのレストランで、ヴィーノ・ノービレと郷土料理のマリアージュを楽しむ。
食事:宿泊
・朝:X 昼:〇 夕:〇
・宿泊:モンテプルチアーノ近郊
Day6
スケジュール
☞ スーパータスカンの聖地ボルゲリへ
・午前:内陸部からティレニア海沿岸のボルゲリへドライブ。
ボルゲリの象徴である、約5km続く美しい糸杉並木を通過。
・午後:予約しておいたスーパータスカンのワイナリー(例:ドonna Olimpia 1898)を訪問。
・夕食はボルゲリの村で。最後の夜は、憧れのスーパータスカンで乾杯。
食事:宿泊
・朝:〇 昼:〇 夕:〇
・宿泊:ボルゲリ近郊
Day7
スケジュール
☞ ピサを経由して帰路へ
午前:ボルゲリを出発し、ピサへ。斜塔と奇跡の広場を見学。
午後のフライトに合わせ、ピサ空港またはフィレンツェ空港でレンタカーを返却。
・ピサ、フィレンツェ→午後:成田・羽田へ
食事:宿泊
・朝:〇 昼:〇 夕:X
・宿泊:機中泊
Day8
スケジュール
成田・羽田着
食事:宿泊
・朝:X 昼:X 夕:X
*追加料金で夕食をシェフのおすすめコースに変更可能
この旅を終える頃には、あなたの心はトスカーナの美しい風景と、偉大なワインの記憶で満たされていることでしょう。Buon viaggio!
レンタカー利用のメリット&デメリット
美しいトスカーナの田園風景を心ゆくまで満喫し、点在するワイナリーを自由に巡るなら、レンタカーは最高の選択肢です。
メリット:
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圧倒的な自由度: 公共交通機関ではアクセスしにくい丘の上の小さな村や、郊外のワイナリーへも思いのままに訪れることができます。気に入った風景があれば車を停めて写真を撮ったり、予定を変更して気になるレストランに立ち寄ったりと、自分たちだけの旅を組み立てられます。
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効率的な移動: 複数のワイナリーや町を1日で巡ることが可能になります。特に、アポイント制の多い小規模ワイナリーを訪問する場合、時間を柔軟に調整できるのは大きな利点です。
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荷物の心配無用: ワイナリーで購入したワインを何本も持ち運ぶのは大変ですが、車ならトランクに積んでおけるので安心です。お土産選びも存分に楽しめます。
デメリット:
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運転の難しさ: イタリアの田舎道は道幅が狭く、曲がりくねった道も多いです。また、多くの歴史地区では**ZTL(Zona a Traffico Limitato)**と呼ばれる車両進入禁止区域が設定されており、誤って進入すると高額な罰金が科せられるため、標識の確認が必須です。
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飲酒運転の問題: ワイナリー巡りの最大の目的はテイスティングですが、当然ながらドライバーは飲酒できません。複数人での旅行なら交代で運転するか、ドライバー役を決めておく必要があります。
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駐車場の確保: 人気の観光地や小さな村では、駐車スペースを見つけるのが難しい場合があります。事前に駐車場の場所を調べておくとスムーズです。
デメリットも理解した上で計画を立てれば、レンタカーはトスカーナの旅を何倍にも素晴らしいものにしてくれるでしょう。
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